第4次産業革命(4IR)は、経済効率、労働生産性の向上、製品の改良、競争力の向上をもたらすが、ベトナムを含む多くの国で何百万人もの雇用が影響を受けるため、大きな労働問題になることは間違いないでしょう。
このトピックは、5月11日にハノイで開催されたデジタル時代の人材育成に関するAPEC 2017高等政策対話で調査されたものです。
国際労働機関(ILO)の労働専門家であるフー・フイン氏によると、APEC加盟国は例外なく、4IIRによって労働市場に劇的な影響を与えられるでしょう。技術は徐々に生産プロセスに浸食してゆき、ロボットによる自動化、人工知能、インターネット接続、3D印刷技術などの労働市場の構造を変えていきます。
実際、インターネットを使用している人口の割合は過去15年間で急激に増加しています。 2000年には、ベトナムにおけるインターネットにアクセスする人口の割合は小さかったが、ILOのデータによると、2015年には55%以上に急増しました。
日本、韓国、カナダなどの先進国においては95%まで達しています。さらに、生産における自動化のスピードが急速に高まっています。
ベトナムは、中国に次いで自動化の影響を最も受けている国のひとつであり、具体的には70%近くの職種に影響を与えるとILOは述べています。
ILOが最近発表した報告書によると、ベトナムの繊維衣類や皮革靴の労働者の86%、電子産業の従業員の75%が自動化の猛攻撃に直面するとされています。これらは今日、ベトナムで最も労働力が集中している部門です。
ベトナムは、他の近隣諸国と同様に、現時点においては、職場における技術の影響を目にするまでには至っていません。これは主に、競争力によって人件費が安く抑えられていることと、技術への投資コストが比較的高いことによるものです。
しかし、ロボットの自動化などの技術革新は、繊維衣類、皮革靴、電気電子製品など、さまざまな産業に浸透しています。
女性と未熟労働者は、最も影響を受ける脆弱な存在になるだろう、とフー・フイン氏は述べました。
大手就職情報サービス会社のマネージングディレクターであるマイ氏は、求職者の英語力は常に雇用者の最重要課題であると述べています。
情報技術(IT)を例にとると、ITエンジニアを雇うという需要は膨大であり、量と質の両方において現在は供給が満たされていません。市場は一般的に労働者、特に外国語に堪能な熟練者が不足しています。
「ITエンジニアは外国語に長けていることが非常に必要となるため、多くの外国企業は専門知識よりも英語の熟練度を優先させるよう採用要件を変更した。」とマイ氏は言います。
加えて、ベトナムがASEAN経済共同体(AEC)に正式に加盟したことで、特に中〜高レベルの人的資源の中で「頭脳の流出」が高まると見られています。さらに、ITや会計監査のようないくつかの分野を得意とする人材は、他の地域の企業においても良い機会を得ることができるでしょう。
ベトナムの人材紹介会社マネージャーであるキム氏は、「雇用の将来は、必ずしも人と機械のトレードオフ、交換可能ではない。デジタル時代の発展は、政府がより多くの雇用を創出するチャンスだ。」と考えています。
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キム氏によると、技術は、労働市場における現在の問題を解決するのに役立つ新しいモデルの出現を促進しています。例えばUber、Lyft、Airbnb、Grabのようなテクノロジーベンチャーの創設を通じて作られた数千の短期雇用、ギグ経済の誕生などです。
キム氏は「肯定的な側面だと捉え、新技術の急速な発展と人間の知性を組み合わせれば、私たちの世界をより豊かにするだろう。」と言います。
キム氏は言います。機会を捉え、デジタル技術の悪影響を軽減するためには、人材の能力を適切に向上させることが不可欠である。ただし、そのためには、訓練と再訓練、技術や知識の追加と更新に至るまで、永続的な努力、豊富な投資と人材育成戦略が必要だ。と。
オリエンテーションやAECにおける労働移動の促進など、企業におけるスタッフのトレーニング方針だけでなく、指導を支援するための規制を提案します。
マクロレベルにおいては、ILOのフイン氏によれば、APEC加盟国が共同研究を行い、知識を共有し、雇用市場指標を監視すべきであり、同時に、政策立案者、企業、教育機関間の緊密な調整が必要です。