ベトナムで開催されたAPEC第3回高級実務者会合 – 目標を達成するか?

APECはこの地域における主要経済会議の場であり、ベトナムは2017年8月18日から30日まで、APEC第3回高級実務者会合(SOM3)を開催します。

第3回アジア太平洋経済協力会議(APEC)高級実務者会合(SOM)の出席者たちは、多忙を極める中、本会議のためにベトナムへ向かいました。一連の会議とワークショップは8月18日に始まり、8月30日まで続きます。

ベトナムは2月と3月に第1回会合を開催し、5月には第2回会合を開催しました。そして、最後の会合は11月になる予定です。その後、APEC閣僚会議とAPEC首脳会議を開催し、APEC 2017を締めくくります。

5月に開催されたSOM 2は成功に終わったと見られています。APECの広報は、SOM 2は「2017年に達成されるべきAPECの達成目標の基礎を築いた。」と述べました。SOM 3の評価については、まもなく明らかになるでしょう。

SOM 3では、議論や相談すべき幅広い経済問題が明らかとなりました。健康、関税手続、反テロリズム、貿易と投資、化学物質、基準と適合性、サービスなどです。

APEC 2017には4つの優先事項があります。ベトナムはこれらの優先事項を選択し、加盟国はSOM 2でそれらを確認しました。それは、持続可能で革新的かつ包括的な成長を促進すること、 地域経済統合を深めること、デジタル時代のMSME(Micro、Small and Medium Enterprises)の競争力と技術革新を強化すること、気候変動に対応して食糧安全保障と持続可能な農業を強化することです。

APEC(アジア太平洋経済協力,Asia Pacific Economic Cooperation)(リンク:外務省)

APEC SOMsは各国の代表がお互いから学ぶことを可能にする

APEC SOMsは、代表団や各省庁が他の国の経験から学ぶ機会を提供しています。APECは、北米、南米、アジア、オーストラリアの21人の知識と洞察力を兼ね備えたメンバーがおり、ワーキンググループ、タスクフォースを指導したり、閣僚や経済リーダーのための勧告を作成したりしています。

例えば、司法当局(警察)は、早期会議中に腐敗との戦いを強化することを誓いました。ベトナムの当局は、汚職やマネーロンダリングの被害を受けた経験について語りました。一方、ペルーは、国際レベルで協力して腐敗との戦いにおいて重要な進歩を遂げました。そして、それは後に続く者たちにとって良い例として掲げられました。

ロシア当局はより多くの行動を起こしており、今後さらに自国へ持ち帰るべき学びを多く提供することになるでしょう。ロシア連邦捜査委員会のデニス・クネフ所長は、「アジア太平洋地域の加盟国間の腐敗撲滅のための強力な確約と協力が期待される。」と述べ、「会合では、加盟国が、マネー・ローンダリングと戦ったり、腐敗事件に関連する資産を回収したりするために司法当局(警察)が直面する課題について話す機会を持ちました。ロシアの捜査訓練に使うことができる反腐敗に関する有用な情報がたくさんあった。」と語りました。

テロとの闘いは、すべてのAPECメンバーに関わる

いかなる国も、自国は安全だ、テロの脅威とは無関係だ、とは言えません。これが最新の反テロリズム会議から出てきた重要なメッセージです。

テロ対策ワーキンググループのジェームス・ナチポ議長は「この瞬間、すべての経済国はテロが問題であると認識しています。そして、東南アジアのテロリストのグループと同じように、中東のISILで何が起こっているのかを見れば、私たち皆が同意するでしょう。」と発言しました。

もう一つのメッセージは、より多くの作業が必要であるということです。ナチポ氏は、そういったグループは戦闘機の動きを止めたり制限したりするだけでなく、テロ資金に対抗する方法を検討していると付け加えました。来年、新たな4カ年計画がスタートします。

健康で目標を達成することもAPECを動かす重要な要素

健康はAPEC 2017のもう一つの主要な課題です。SOM 3では、保健大臣や高官は、高まる需要に応えるため、医療分野でのキャパシティ・ビルディング(能力強化)について議論をしました。

ベトナムのヴー・ドゥック・ダム副首相は、「健康への投資は開発のための投資だ。」と述べ、「APEC加盟国を健全なアジア太平洋の共通目標に向けて動かすには、政策の成功と失敗を共有し、学んだ教訓を適用することが不可欠だ。」と発言しました。

この検討メンバーは、アジア太平洋地域の全ての人に安全で効果的で手頃な価格の医療を提供することを目指す、APECの「ヘルシー・アジア太平洋 2020」への取り組みを続けています。

ボゴール目標とAPECの未来を追求する

APECは、インドネシアがAPECを主催した1994年にボゴール目標を掲げました。目標は2020年までに加盟国間の自由貿易を達成することです。期限が近づいているため、本会議の参加者はすでに次のことを考えています。

「2020年の期限後、我々はこれまでと異なる目標と掲げ、異なる感情を持ちながら、これまでとは違った行動をしなければならないだろう。」とアラン・ボラードAPEC事務局長は語りました。

APECの食糧安全保障週間の終わりに、食糧安全保障と気候変動に関する3つの文書が採択されました。その3つはすべて、ボゴール目標と2020年に向けたAPEC食糧安全保障ロードマップを達成するためのものでした。

「我々は過去にうまくやってきたものだ。例えば、自由貿易は5億人を貧困の中から中所得に引き上げた。それは価値のある遺産だ。」とアラン・ボラードAPEC事務局長は付け加えました。

APECは世界的な意義を持ち、そして開催国となったベトナムに幸運をもたらした

APECは、世界人口の約40%、世界貿易の44%、世界の国内総生産(GDP)の半分以上を占めています。 太平洋横断パートナーシップは不確実な未来に直面するとき、重要な意味を持ちます。

APEC加盟国がベトナムにおける貿易と投資の75%を占めていることから、今回の会合は受入れ国にとって好都合でした。また、2度目のAPEC会合開催であることも、国を後押しします。実際、ベトナムが2006年に初めて開催国となってから、貿易、投資、観光が大幅に増加しました。

これまでのところでは、SOMが生産的で実りあるものであるかのように見えるが、これから声明や計画を意味のある行動に変えていくこと、それが難しい次なるステップとなるでしょう。