持続可能な農業の開発について協力を求めるベトナム

ベトナム副首相チン・ディン・ズン氏は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の国々に対し、気候変動に適応した持続可能な農業を構築し、発展させるための協力・支援を呼びかけました。

8月25日、副首相は、カントー地方のメコンデルタにおける気候変動に対応した食糧安全保障と持続可能な農業の強化に関する高等政策対話において、APEC加盟国は食糧と栄養の安全を確保するために農業生産技術を革新すべきである、と発言しました。

生産能力、人材、ハイテクの格差が地域開発の障壁となっているため、APEC加盟国は協力して、持続可能な農業を達成するための最良な措置を求める必要があるとし、農業経営における技術的応用を促進しながら、生産性と製品品質を向上させるための農業、林業、漁業分野における科学技術研究と移送技術を強化する必要性があることを強調しました。

また、APEC加盟国は、食糧と栄養の安全保障を研究し、食糧喪失の減少に向けた協力を強化すべきだと強く述べました。

副首相は、国境を越えた水資源を含む持続可能な資源管理に関する情報交換に加え、経済は遠隔地に対する強いつながりとともに、農村と都市の開発を促進する必要があることから、貿易活動が、食糧と栄養の安全保障に向けた持続可能な農業を促進する重要な要素であると考え、多国間貿易の原則と合意に基づいて均等消費市場の発展を促進することを提案しました。

また、インフラ、輸送、電気通信、インターネット、特に不利な地域に投資する官民パートナーシップ(PPP)モデルを通じて、コミュニティとビジネス界の役割が十分に発揮されるべきだと述べ、APEC加盟国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)とメコンデルタ地域地域プログラムのような地域プログラムとの連携を構築すべきだと指摘しました。

コミュニティベースの災害リスク管理、持続可能な農村開発、沿岸住民の正当な権利確保に注力しながら、APEC災害軽減リスク・フレームワークの実施、災害防止システムの構築、災害後の持続可能性と復興能力の向上を図ることを呼びかけました。

気候変動に対応した食糧安全保障と持続可能な農業をどう確保するかは、ベトナムだけでなく、アジア太平洋及び世界全体が直面している最も緊急な課題の1つであると強調しました。

副首相は、この高等政策対話を賛辞し、APEC加盟国の各国首相が承認した食糧安全保障措置と同様に、世界的な取り組みである「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」及び「パリ協定(気候変動)」に貢献するだろうと述べました。

そして、ベトナム政府は、APECの枠組み内における協力に注力し、地域の平和、安定、持続可能な発展と繁栄、そして食糧安全保障を確保するために、他のAPEC加盟国と協力する準備を整えると述べました。

この発言の前、開会の挨拶において、チャン・ホン・ハー天然資源環境大臣は、21世紀の人類、特にアジア太平洋地域にとって、気候変動は農業生産と世界人口に対して深刻な影響を及ぼした最大の課題の1つであるとし、「一般的な国際社会や特にAPEC地域との包括的な協力により、より効果的かつ堅実な対応策が立てられなければ、状況はさらに悪化するだろう。」と述べ、APEC地域は農業生産分野が世界でもトップクラスの食糧輸出地域の一つであり、人口比率の高い巨大な地域をカバーしている。したがって、ベトナムは、APEC 2017における4つの最優先協力課題の一つとして「気候変動に応じた食料安全保障と持続可能な農業の強化」を提案する、と大臣は述べました。

この高等政策対話は、APEC加盟国における食料と農業生産を担う上位の国々の指導者が、持続可能で気候変動に敏感な農業及び食糧損失管理に向けた包括的な協力を強化し、深めるとともに、アジア太平洋地域における食料安全保障に貢献する素晴らしい機会である、と指摘しました。

アラン・ボラードAPEC事務局長は、今年ベトナムは、持続可能な開発、地域経済統合、中小企業の近代化、食糧安全保障、気候変動の中での持続可能な農業に関する3つの重要な優先事項があると述べました。

本対話において、参加者たちは、変化する環境、技術革新、技術及び応用研究、持続可能な農業投資を強化するための官民パートナーシップ(PPP)における食料安全保障を検討しました。
最後に、食糧安全保障及び気候変動に関するAPEC多年度フレームワークプログラムを実施するための行動計画(食糧安全保障と品質向上を目的とした農村都市開発に関するAPEC戦略的フレームワークを実施するための行動計画)、及び 気候変動に対応した食糧安全保障と持続可能な農業の強化に関するカントー声明を採択しました。